チューニングがうまく定まらずアタック音にノイズがはいるとの事で預かってたタブラのメンテナンス。
様子を見てみると打面の皮がねじれてしまってて、その状態でプレイ続けたためか打面の黒い丸スヤヒが内部で剥離してしまってました。
見た目はあんまりダメージないんですがスヤヒの剥離は交換するしか手段がありません。
まずはグッリ(木製コマ)を抜いて
バティ(ひも)とボディ(胴体)と打面皮を別々ににします。
作業スタート!
ヤギ皮同士の摩擦のせいですごく硬いので足で押さえながらパワーで一箇所ずつ引っこ抜いていきます。バティは厚みが1mm、幅7mm、長さ10mの長ーいきしめんみたいな形。
合計1トンを越える張力に耐える為に、硬い。
クラック(ヒビ割れ)がありましたが
工房でのペイント前なのであんまり気にしなくて大丈夫。
もし溝が広がってたり、新しいクラックがあれば埋めます。
2/3ほどバティを外したところで
打面皮が取れました。
まだ上と下がつながってます。
空っぽです。
この空洞の容積でキーの高さがだいたい決まってきます。狭いと高い音、広いと低い音。
内側が滑らかなのでマシンでグラインドしたタイプです。昔ながらの手彫りもありますが個人的にはマシングラインドの方が倍音がフラットに出るのでチューニングしやすいです。
投げ輪みたいな底面リングとバティ
輪っかをボディの底に固定します。
左が今回メンテナンスするタブラ。
右がバラナシの平均的なタブラ。
左のが背が数センチ高いですね。
デリー製かな?
ホコリや木クズが付いたボディを綺麗に磨いていきます。
麻紐で仮留めしてから
バティで上下リングを固定していきます。
表ウラを気にしながら32ヶ所にバティを通します。摩擦抵抗があるのでバティを引くために力がいるし、力が強すぎると切れてしまうこともあるので神経も使うので1番しんどい部分。
締めるのがきつすぎると下のリングが歪んでしまいチューニングが定まりにくい原因にもなるのでとりあえずはゆるめに。あとで徐々に締め上げます。
ちょっとずつちょっとずつ。
いつもこの行程で摩擦で指の皮がムケてきますが雑にならないよう集中力キープ。
半分を越えたらへん。
とりあえず順調。
完全には締めきらないゆるみが重要。
とりあえず無事に組み上がりました!
見た目的には完成!
ふー
ここからバティの弛みを無くし
張力が均等になるように調整して
どの角度から叩いても同じ音が出るようチューニングします。
最後に打面皮の隙間に糸をいれます。
これは叩いた時のサステインを稼ぐのに必要です。
作業工程では最終の仕上げになるので
入魂儀式のイニシエーションも兼ねます。
張りたての音はめっちゃクリアです。
まだ皮が伸び切ってないけど
CからDくらいの使いやすい帯域に
セットアップします。
季節にもよるけど
皮が安定するまで2、3日。
良い音を降ろしてくれますように。
なるべく長い間もちますように。
お疲れ様でした〜
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